寒来光一の日替わり笑話

お笑い作家・寒来光一(さむらいこういち)が、毎日(たぶん?)、笑いのネタをお送りします。

笑ートエッセイ

バードウォッチング(笑ートエッセイ)

妻に誘われて、バードウォッチングに出かけた時のことだ。 風もなく、絶好の観察日和だったためか、何種類ものカモメや サギ、シギ、カモ、バン、ヒバリなど、数多くの鳥たちが出迎え てくれた。 中でも、干潟に数百羽の白いユリカモメがくつろいでいるさま …

電話のかけ方(笑ートエッセイ)

妻が毎日、ラジオで中国語講座を勉強している。 それを聞くともなしに聞いていると、中国では、電話に出るとき に、名乗らないのが習慣なのだそうである(企業では、最近、名乗 るところも増えてきたとか)。 日本では、「○○ですが」と名乗るのが当然だと思…

注意書き(笑ートエッセイ)

「○○はご遠慮ください」と書かれた注意書きを、よく見かける。 「○○」に入る文字と言えば、喫煙、飲食、携帯電話、写真撮影な どいろいろである。 その気持ちは、よく分かる。しかし、「遠慮」というのは、いっ たいどういうことなのだろう。「遠慮するかど…

じゃんけん(笑ートエッセイ)

新聞に、じゃんけんのことが載っていた。ある学者が、1万1千回 の統計で調べてみたところ、グーを出す回数が一番多かったそうであ る。 なぜだろうか? 日本人は、割に建前を気にする方だ。パーのようなあけっぴろげな ポーズや、チョキのような人に向かっ…

自動車(笑ートエッセイ)

考えてみれば、全く不思議なネーミングである。 「自動」で動く「車」。 そこで、「自動」を辞書で引くと、「自然に動くこと、自分の力 で動くこと」(広辞苑)と書いてある。 自然に動く車? 確かに、坂道でサイドブレーキをきちんとかけていないで駐車し …

コカ・コーラ(笑ートエッセイ)

「♪スカッとさわやか、コカ・コーラ~」 テレビからこの曲が流れてくると、心がわくわくしてきたものだ った。 画像は消えても、メロディだけは永遠に残してほしかった。その せいか、コカ・コーラを飲むことはめったになくなった(ただ単に 年をとっただけ…

おつり(笑ートエッセイ)

コンビニのレジで、精算をする。980円だという。 あいにく小銭の持ち合わせがなく、1000円札を出す。 「おつりはいらないよ」と言う度胸もなくおどおど立ち止まっている と、当然おつりを受けとめる羽目となる。 私が左手のひらを上に向ける。すると…

ATM(笑ートエッセイ)

ATMの前に行くと、なぜか緊張してしまう。 操作が苦手なわけではない。私のような機械に弱い人間でも、何 回か操作するうちに、いつの間にか覚えてしまうものだ。 お金を引き出す時に、何か抵抗感を感じるというわけでもない。 自分の金をどう扱おうが、…

宛て名(笑ートエッセイ)

「封筒に、この表にある人の住所と名前を書いてくださいね」 私が、サラリーマンだったころの話である。 アルバイトの若い女性に、宛て名書きを頼んだ。当時はパソコンなどな い。彼女は、言われたとおり、封筒にせっせと宛て名を書き始めた。 小1時間たっ…

アボカド(笑ートエッセイ)

「アボカド」のことを、「アボガド」と思い込んでいた。 妻が大好物で、いつも「アボガド、アボガド」と口にしていたからだ。 いや、妻のせいにするのは潔くない。いつもそそっかしい妻の言うこと を、辞書で確かめもせずに鵜(う)呑(の)みしたのがそもそもの…

山登り(笑ートエッセイ)

「山登りをしてきた」と、友人が言った。 「ふうん」と、私は気のない返事をした。「はい、おみやげ」というセ リフが、続いて出てこなかったからである。 しかし、すぐに私は、友人の言葉が気になり始めた。 考えてみれば、おかしな話だ。「山登り」をした…

デジカメ(笑ートエッセイ)

新しく買ったデジカメに、ビューティーモードというのがある。 小ジワやシミを目立たなくさせ、修正してしまうという機能であ る。 こうなると、写真といっても「真実」を「写」すことになるのだ ろうか。 そのうち、もっと進化し、ヨン様モードとかキムタク…

時計(笑ートエッセイ)

時計を見て大あわてしたが、その時計が止まっていることを思い出 し、胸をなでおろした経験はないだろうか。 まんまと時計にだまされたわけだが、そんな時計を詐欺罪で訴える わけにもいかない。反省の情を示してなのかどうかは定かではないが、 少なくとも…

地球温暖化(笑ートエッセイ)

地球温暖化が進むと、冬の気温が上がるので、暖房がいらなく なり、エネルギーの節約になる。 その結果、温暖化防止につながるという議論がある。 しかし、その論理でいくと、夏はさらに気温が上がるので、冷 房を強くすることになってしまう。 その結果、エ…

大きな幸せと小さな幸せ

毎日、小さな幸せを感じるには、部屋を整とんしておくのがいい だろう。 部屋が片付いてすっきりしていると、心まですっきりしてくる。 毎日、大きな幸せを感じるには、部屋を乱雑にしておくのがいい だろう。 探している物が見つかった時、心が浮き立つよう…

食べ物(笑ートエッセイ)

妻の知人である外国人と、食事に行ったことがある。 食べ物に関心が強いらしく、日本に輸入されている果物などは、 農薬まみれになっているとか、いろいろと説明してくれる。 そんなに気にすると、かえってストレスがたまり、体に悪いので はないかと言うと…

自由席(笑ートエッセイ)

ほぼ満員の特急に乗っていた時のことである。 私を含め、多くの人が立っていた。当然のことながら、停車駅に 近づくと、空きそうな席はないか、目を血走らせている。 その車両は、もちろん「自由席」車両だ。だが、これだけ多くの 人が乗っていると、車内で…

一笑一会(笑ートエッセイ)

本にサインする時には、自分の名前とともに、「一笑一会」という 言葉を記している。 「一笑一会」は、もちろん「一期一会」をもじったものだ。 「一生にたった一度の出会いかもしれないのだから、笑えるような縁 でありたい。一番素晴らしい笑顔を見せたい…

近藤正臣(笑ートエッセイ)

近藤正臣という役者がいる。 陰謀を策す家老などがよく似合う俳優である(現在は、大河ドラ マ『龍馬伝』で土佐藩主の山内容堂を怪演している)。 しかし、この人の顔を見ると、いまだにピアノを足で軽やかに弾 いていた学生服姿が、頭の中に浮かんでくる。 …

コインロッカー(笑ートエッセイ)

東京の大きな駅で、荷物をコインロッカーに預けた時のことである。 あちこち歩き回り、駅に戻ると、はたと足が止まった。 ない! 預けたコインロッカーが、どこにも見当たらないのだ。 預けたのは、一階フロア改札口付近。しかし、何だか様子が違う。近 くを…

兄弟(笑ートエッセイ)

「人類みな兄弟」というキャッチコピーがあるが、人類がみな若貴 兄弟みたいになったら、ますます争いごとが増えるのではないだろ うか。 「人類みな他人」の方が、情がからまないだけ冷静に親しくつき合 っていけそうな気がする。 イチロー、やりましたね。…

かわいい(笑ートエッセイ)

新しい服を買ってきて、妻の前で着てみせる。 妻いわく、 「かわいいー!」 あのなあ。オレはペットやないっちゅうねん! やはりここは、素直に「かっこいいー!」とか「きまってるー!」 とか、言ってほしいのである。 遠慮がちにそう言うと、決まってこう…

うまい(笑ートエッセイ)

「うまいアイスコーヒーを飲もう」という看板が、掲げてあった。 「うまい」とは、「おいしい」と同義語。だが、「おいしいコーヒ ー」よりも、「うまいコーヒー」の方が、何だかもっとおいしい感 じがするのだから、言葉とは不思議なものである。 もっとも…

コーヒー(笑ートエッセイ)

子どものころ、コーヒーを飲めるようになりたいと思っていた。 コーヒーを格好良く飲めることが、大人になったことの証のような気 がしたからである。 しかし、その苦さは、とても子どもには挑戦できるものではなかった。 高校生になったころ、ようやく口に…

講演会(笑ートエッセイ)

講演が終わり、質問タイムとなった。 初老の男性が、勢いよく手をあげた。指名を受けしゃべり始め たが、場慣れしていないのだろう。 なかなか要領を得ない話になっている。 ようやく長い質問が終わった。 すると、講師(かなりの有名人)が一言。 「質問の…

講演会(笑ートエッセイ)

ある講演会の出来事である。 講演の最中に、携帯電話の着信音が会場に鳴り響いた。それ もやけに大きく、なかなか鳴り止まない。 聴衆の顔が、だんだんと険しくなる。 しばらくして、ようやく止まった。と、その時である。壇上 の講師が、「もしもし、今講演…

救急車(笑ートエッセイ)

自慢ではないが、救急車に運ばれた経験がある。 朝、目が覚めて立ち上がろうとすると、腹がずきんと痛むのだ。 少し様子をみていれば治まるだろうと思っていたが、治まるどころ かますます痛みがひどくなる。 ついにはうめき声をあげるほどの猛烈な痛みとな…

レンタルビデオ(笑ートエッセイ)

レンタルビデオ店で、2年ほど前に上映されたアクション映画 を借りてきた。 そして、何とはなしに、新聞のテレビ欄に目を通してみた。す ると、ああ何ということだろう。その映画が、まさに今夜、放映 されるというではないか。 これは、とても偶然とは思え…

ユニット家具(笑ートエッセイ)

家具が必要な場合、家具店に向かう。目当ての品を見つけ、お金を 払う。 しかし、ここで安心してはいけない。それは、ユニット家具という やつなのだ。持って帰って寝かせておいても、そのままでは単なる板 切れにすぎない。ほうっておいても邪魔になるだけ…

ボウリング(笑ートエッセイ)

ボウリングで222のハイスコアを出したことがある。 122の間違いではない。ノーミスで正真正銘の222を達成し たのだ。300というパーフェクトも難しいが、222のぞろ目を 出すのはそれ以上に難しいような気がする。 とにかく222である。私に…